第8回日本医療安全学会学術総会 読み込まれました
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LGBTQ を取り巻く医療の現状

LGBTQ を取り巻く医療の現状

TRANS VOICE IN JAPAN

浅沼 智也(あさぬま ともや)先生

看護師

映画監督

 昨今 LGBTQ という言葉がメディアでも日々取り上げられることが多くなり、社会的に 多様な性が認識されつつあります。性的指向の視点からみた場合のマイノリティであるL(lesbian)、G(gay)、B(bisexual)、性自認の視点からみた場合のマイノリティである T(transgender)、そして、Q(queer、questioning)を併せて「LGBTQ」と言います。ただ、 LGBTQ では括ることができないほどセクシュアリティというものは多様であり、LGBTQとそうでない人と区別をするのではなく誰にでも持ち合わせているものでもあると認識する必要があります。また、人権の観点で「LGBT」「LGBTQ」「性的マイノリティ」などの言葉は「SOGI」「SOGIE」という用語に変わりつつあります。性は性的マイノリティだけに係ることではなく全ての人に位置づけられるからです。SOGIE とは性的指向(sexual orientation)と性自認(gender identity)と性別表現(gender expression)の頭文字を合わせた言葉になります。

 LGBTQ 当事者が直面する問題は、ライフステージや性自認・性的指向により異なります が、困難な特徴は性別規範と密接しており、困難自体が日々の社会生活の中で目に見えない ことが多く、血縁など周囲の人に頼れない人も少なくありません。日本では同性婚が認めら れていないため、パートナーシップ政策を各自治体が行い宣誓書を発行しています。しかし、その宣誓書を医療機関に提示し同性パートナーをキーパーソンとして認めるよう患者が伝えても各医療機関側の判断に委ねられるため法的な関係性のある人を指定されることも少 なくない現状があります。次に、トランスジェンダーの人々の場合医療機関への受診を躊躇 し、救急医療の受診や定期健診等アクセスに繋がらないことが多く、その理由として、受診 拒否にあったことや口頭でのハラスメントを受けたことなどのトラウマ経験や見た目と戸籍上の性別が異なるためにトランスジェンダーであることをカミングアウトしなければいけないことや戸籍上の性別や氏名が記載されている保険証の提出や氏名を呼ばれることへの抵抗感などがあるためです。様々な人たちと関わる機会が多い医療者にとってLGBTQ当事者は決して遠い存在ではありません。LGBTQが直面する問題や医療を行う上で障害となるものを知識として得て個々の人権を尊重しながら健康の増進に寄与していく必要があります。

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