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ヒヤリハット
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ひやりはっと

Near miss and No harm incident

定義
重大な災害や事故には至らないが,作業中にヒヤリとしたり,ハッとしたりした現象
解説
労働災害に至るまでには,その前にヒヤリとしたり,ハッとする多くの経験があるという,ハインリ
ッヒの法則から,重大な災害や事故を未然に防ぐためには,このヒヤリ・ハットを撲滅することが大切
である.労働者のヒヤリ・ハットの経験を集めて,それを皆が分析・共有することで,危険を管理し,
労働災害の発生を防ぐことにつながる 1).厚生省(当時)は,2000 年,リスクマネージメントマニュア
ル作成指針を公表したが,ここでヒヤリ・ハットが定義されている 2).その定義とは,「患者に被害を及ぼすことはなかったが,日常診療の現場で,“ヒヤリ”としたり,“ハッ”とした経験を有する事例.具
体的には,ある医療行為が,(1)患者には実施されなかったが,仮に実施されたとすれば,何らかの被害
が予測される場合,(2)患者には実施されたが,結果的に被害がなく,またその後の観察も不要であった
場合等を指す.」とされており,労働災害の発生防止活動と同じ定義であった.
日本医療機能評価機構は,医療事故情報収集等事業の一環としてヒヤリ・ハット事例収集・分析・提
供事業に参加登録した医療機関からヒヤリ・ハット事例の報告を受け,「発生件数情報」と「事例情報」としてまとめ,公表している.(1)医療に誤りがあったが,患者に実施される前に発見された事例.(2)誤った医療が実施されたが,患者への影響が認められなかった事例または軽微な処置・治療を要した事例.ただし,軽微な処置・治療とは,消毒,湿布,鎮痛剤投与等とする.(3)誤った医療が実施されたが,患者への影響が不明な事例が,「ヒヤリ・ハットとして報告する範囲」として定められている3).日本で使用されているインシデントは患者に影響を及ぼすに至らなかったもので,ヒヤリ・ハットと同義とされているが 4),世界的には,害がある場合も含めてインシデントというので,用語の使い方には留意が必要である 5)
参考文献
1) 安全衛生マネジメント協会.安全衛生関連用語集.https://www.aemk.or.jp/word/ha09.html[アク
セス日 2023.05.07]
2) 厚生省.リスクマネージメントスタンダードマニュアル作成委員会. リスクマネージメントマニュ
アル作成指針 https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/sisin/tp1102-1_12.html(2000) [アクセス日
2023.05.07]
3) 日本医療機能評価機構.医療事故情報収集等事業 事業の内容と参加方法 (2020)
https://www.med-safe.jp/pdf/business_pamphlet.pdf[アクセス日 2023.05.07]
4) 厚生労働省.医療安全推進総合対策 医療事故を未然に防止するために. (2002)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0110/tp1030-1y.html[アクセス日 2023.05.07]
5) 寺嶋美帆ら.令和2年度厚生労働科学研究費補助金(長寿政策科学研究事業)分担研究報告書 国内
外における有害事象に関連する用語の定義 (2020). https://mhlwgrants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202099006A-buntan4.pdf[アクセス日 2023.05.07]

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