Safety-II
Safety-II
定義
常に状況が変化する複雑適応系である医療行為において,さまざまな擾乱と環境的制約がある中で,想
定された状況のみならず,想定外の状況にも柔軟に対応し,ものごとが出来る限りうまくいくように調
整することを目指すものである.
解説
Safety-II は,Hollnagel E らが 2000 年頃から提唱してきた人が関わるシステムにおける安全のアプ
ローチ,方法論である.Safety-II では,なぜ失敗したのかではなく,日常業務がどのように成功裏に維
持されているのかに着眼し,決まった通りのことが順番に行われる(リニアモデル)ではなく,あらゆ
る機能が変動し相互に影響しあっている(ノンリニアモデル)と捉える.Safety-II では,物事を正常に
進める人々の能力,能力,能力等のポジティブな要素の存在として安全性を定義する. したがって,可
能な限り多くのことがうまくいくとき,安全性が存在し,この安全を生みだす調整能力をレジリエンス
と呼ぶ.
参考文献
1) Hollnagel E. From Safety-I to Safety-II: A White Paper.
https://www.england.nhs.uk/signuptosafety/wp-content/uploads/sites/16/2015/10/safety-1-safety2-whte-papr.pdf[アクセス日 2023.05.07]
2) Hollnagel E ら(編著).中島 和江(訳).レジリエント・ヘルスケア ―複雑適応システムを制御する
―.大阪:大阪大学出版会. (2015)
3) Hollnagel E ら(著).北村 正晴,小松原 明哲(監訳).Safety-II の実践―レジリエンスポテンシャル
を強化する.東京:海文堂. (2019)