医療安全管理者養成研修アドバンスドコースでは、現場で“使える”医療安全の知識を体系的に修得することを目的としています。
実践的な事例や演習を通じて、知識を“行動”へとつなげる応用力とリーダーシップを培い、現場の医療安全をリードできる人材としての成長をめざします。
⇒お申込みはこちらからどうぞ
https://www.jpscs.org/forms/kenshu/advanced/

対象者
医師・看護師・薬剤師・医療安全管理者・医療従事者全般
🎯 こんな方におすすめ!
✔ 医療事故の再発防止策を学びたい方
✔ インシデント・アクシデントのリスク管理を強化したい方
✔ 医療安全の最新ガイドラインを学びたい方
✔ 職場の安全文化を向上させたい方
✔ 医療安全に関わる全ての医療従事者
🌟 「患者と医療従事者が安心できる医療環境を共に築きましょう!」 🌟
・医療安全や質の改善に興味がある医療者であれば、どなたでも受講していただくことができます。
・このコースの受講のみでは厚生労働省が定める医療安全管理者の資格要件を満たしません。
開講日程
Day1:11月23日(日) 10:00-17:00
医療安全のDX最前線とそのリスクマネジメント
Day2:12月14日(日) 10:00-17:00
実践編-現場力を高める技術と手法
Day3:12月21日(日) 10:00-17:00
組織文化とチームワークで支える医療安全
*こちらのコースが終了した後、録画した内容のオンデマンド受講を募集する予定となっております。
開催形式
Live配信(Zoom)
募集期間
各日程1週間前まで
募集定員
100名
参加費
1回のみ受講:7,000円 2回受講:14,000円 全3回セット受講:18,000円
2024年度医療安全管理者養成研修参加者割引
1回のみ受講:5,000円 2回受講:10,000円 全3回セット受講:12,000円
*本会はインボイス未登録となります。
*免税事業者となりますので消費税の請求はございません。
*受講料は、お支払いの後、如何なる理由があっても返金は致しかねますので、ご注意ください。
講義内容紹介
✅第1回 11月23日(日) 10:00-17:00
テーマ:医療安全のDX最前線とそのリスクマネジメント
医療安全のDXは、現場を賢く強くする一方で、新たなリスクも生む可能性をはらみ、その“両刃”を正面から扱うのが第1回の目的です。生成AIの入力・分析・予測と会議・研修支援、XRによる手順支援と学習、サイバーインシデントへの初動・復旧、遠隔医療のセーフティ設計を横断的に整理し、限界と可能性を見極めます。明日から使えるガバナンスと運用で、効率と安全の両立を具体化します。
医療DXの推進において、作業効率と安全性の向上、さらに医療従事者の負担軽減は不可欠です。本講演では、拡張現実(XR)技術を用いて現場で適切な手順をリアルタイムに提示し、業務を支援する方法を示します。また、仮想現実による臨床体験を繰り返し学ぶことで、経験不足を補い、安全文化を醸成する仕組みを紹介します。医療安全教育と働き方改革を同時に実現するDXの未来像を探ります。
- 遠隔医療セーフティとリスクマネジメント:獨協医科大学 脳神経内科 辰元宗人
日本の人口減少と高齢化を背景に、遠隔医療の普及は不可避である。COVID-19によるパンデミックを契機に一定の導入は進んだが、依然として限定的な展開にとどまっている。遠隔医療は、離島・へき地の医療提供や医師の働き方改革に寄与する一方、患者中心主義の希薄化や医療の質低下といった課題も顕在化している。本講演では、遠隔医療の普及に伴うリスクとその対策について解説する。
- 医療安全業務に生成AIを活用する発想と課題: 隠岐病院 麻酔科 助永親彦
・前半:入力、分析、データベース構築
医療安全業務に生成AIを活用する発想と課題(前半:入力・分析・データベース構築)
生成AIがインシデント報告や事例入力を整理し、即座に分析可能なデータベースに変換できれば、医療安全の現場は大きく変わります。負担は軽くなり、情報の共有や解析もスムーズになります。ただし、正確性の担保に加え、個人情報の管理や責任の所在など、慎重に向き合うべき課題も残されています。
・後半:予測、会議関連、研修会など
AIがインシデントの傾向を先読みし、会議の議事録や研修資料を自動で整える未来はもう近くに来ています。これが実現すれば、迅速なリスク対応や教育の効率化が期待されます。一方で、精度の限界や情報の偏りといった課題をどのように乗り越えるかが、現場実装に向けた大きな鍵となります。
- 医療サイバーインシデントの可能性を直視する:医療保健学部 臨床工学科 田仲浩平
サイバーインシデントは今や災害と同様に医療現場を脅かす現実的リスクとなっています。本講演では、国内外の発生事例からその深刻性を直視、病院機能の停止や診療継続性への打撃、さらには患者安全に及ぶ重大な影響を多角的に考察します。加えて、被害を最小化するための備えとして、具体的かつ実践的な初動対応の在り方や、事前に回避力を高めるための教育・トレーニングの必要性を提示、今後の医療安全DXに不可欠な視点を示します。
✅第2回 12月14日(日) 10:00-17:00
テーマ:実践編 – 現場力を高める技術と手法
医療安全に関する様々な学びは、最終的に現場へのフィードバックがあってこそ意味がある。第2回では、事例の分析、現場への還元における課題などに焦点を当て、ワークショップも踏まえながら参加者の皆様に医療安全活動の現場を実感していただきたい。
- 最近の注目事例をフラットに検討する:藤田医科大学病院 医療の質・安全対策部 奥村将年
ここは、世間を騒がせた医療安全の事例を、単なる事件として消費するのではなく、「問い」として捉え直すための思考の場です。報道や世論によって生じる情報の歪みを、「解像度」という視点から紐解きます。医療現場のプロトコルや文脈、暗黙知が、いかにして文字や報道から抜け落ちるかを分析し因果関係を問い直します。本講義を通じて、医療安全側が安易な断定から一歩引き、多角的な視点から物事の本質を捉えるためのインサイトを獲得することを目指します。
- 安全に生かす技術継承・暗黙知の可視化(理論と導入方法):藤田医科大学病院 医療の質・安全対策部 奥村将年
医療現場における患者安全・医療の質は、ガイドラインやマニュアルといった形式知のみならず、経験に根ざした暗黙知によっても支えられています。看護師が患者の「いつもと違う」状態を直感的に察知する力や、術者が手技の中で得る「手応え」はその代表例です。ここでは、ポランニーの「暗黙知」や野中郁次郎のSECIモデルを手がかりに、暗黙知をいかに可視化し、技術継承につなげるかを解説します。単なる知識の伝達にとどまらない文脈のデザインが、形式知と暗黙知の架橋となり、持続可能な安全を支える鍵となると考えます。
- FRAM(機能共鳴分析法)ワークショップ(2時間):広島大学 病院医療安全管理部 伊藤英樹
機能共鳴分析手法(FRAM)は複雑適応系システムを可視化するのに適した手法である。そして、病院はまさにそのような複雑適応系システムの一つである。病院のパフォーマンスを観察するために、FRAMを活用してみてはどうだろうか。過去に起きた出来事(事故)ではなく、未来に起こりうる事象をFRAMによってイメージすることに意義がある。
- 中身のあるRapid Response Systemの構築:藤田医科大学病院 医療の質・安全対策部 奥村将年
日本においては約15年の歴史のあるRRSですが,その普及は緩徐であり,2022年に急性期充実体制加算の基準に加わったことを契機に急激に導入が進みました。ただ,その要件は『院内迅速対応チームの整備』程度であり,活動実績やアウトカムは求められていないため,RRTを作ったがほとんど活動できていない施設も多いと推測します。ここでは,せっかく導入したRRTを,中身のあるRRSに変革するための実体験に基づいたヒントを提供します。
- 心理的安全性外伝 「黙る」ことのエッセンス:近畿大学病院 医療安全対策部 辰巳陽一
心理的安全性は、透明性の高い組織の空気感であり、対人関係を気にせず、事実に目を背けず、懸念が口にできるという空気がチームに共有されている状態とされていますが、しかし、心理的安全性に満ちているはずの医療の現場では、声に出さず沈黙してしまい、事故が黙認されています。「沈黙の組織行動学」が問いかける、組織内でメンバーが何か問題や提案、懸念を持っていたとしても、それを声に出さず沈黙してしまう現象について考えてみましょう。
- 第三者評価を見越した医療安全の仕組みづくり:浜松医科大学医学部附属病院 医療安全管理室 鈴木明
第三者評価には、法令上医療安全管理部門が行わなければならないことをマニュアルや議事録等の書類を確認するものと、実際の事例への対応プロセスを確認し実務の状況を確認するものがある。前者は医療安全管理者研修で解説した。今回は主に後者に対応するための患者安全の仕組みづくりについて考える。
✅第3回 12月21日(日) 10:00-17:00
テーマ:組織文化とチームワークで支える医療安全
医療安全の確保には、患者の安全を最優先に考え、その実現を目指す態度や考え方としての「安全文化」を醸成し、これを医療現場に定着させていくことが求められています。アドバンスドコースの第3回は、医療安全をとりまく様々な文化的背景、事例、患者と向き合うことの本質について触れてみたいと思います。
- 医療安全における動的平衡 :近畿大学病院 医療安全対策部 辰巳陽一
医療安全は固定化されたものではなく「動的」に維持されています。例えば、生物が古い細胞を分解し、新たな栄養を取り込み、入れ替わりながら恒常性を保つように、医療チームもシフト・異動・入退職により常に構成が変動する中、質を保つために定期的に、安全情報・標準手準・経験則などの「知の補給」は不可欠であり、チームの意思決定の枠組みを再構築し続ける必要です。さらに、動的な安全を維持するために、新たに生まれるリスクを微調整していく必要があり、その根底には、心理的安全性をはじめとする様々な医療安全の概念が流れています。さらに、スタッフの多様性を資源と捉え、補完しあう組織文化は欠かせません。安全は静的な状態ではなく、連続的な調整を要する動的な営みであり、本研修では、その背景にある、医療安全における動的平衡の概念を共有してみたいと思います。
- 行動経済学と医療安全:近畿大学病院 医療安全対策部 辰巳陽一
医療安全活動は、安全-I (Safety-I )的に問題点を見つけ改善するにせよ、安全-II (Safety-II)的に安全を維持するための方法を共有するにせよ、最終的に医療現場に行動変容を期待しなければならなりません。しかし、医療者もヒトの子。ヒトの持つボトルネック (生産性にネガティブな影響を及ぼすクセやバイアス)のせいで、その実効性に影を落とすことは少なくありません。これを、強制的に実行させるというのが、古来からの医療安全の手法でしたが、しばしば軋轢・恐怖を生みました。近年、理想的な人間の行動に視点を置いた「古典経済学」に対し、ヒトは必ずしも合理的な行動を取らないことを前提にする「行動経済学」は、より現実社会に即した経済理論です。この概念を人の行動変容誘導に応用し、「そっと肘を押すこと」で適切な行動へ導く方法論を「ナッジ」とよびます。本研修では、この行動経済学の考え方の医療安全への導入について一緒に考えてみたいと思います。
- 医療安全管理者の対話技法(上級):菊名記念病院 医療安全管理室 新村美佐香
医療安全管理者は、医療安全業務において様々な場面で多くの人達とコミュニケーションをとる必要があります。その際に気を付けるべき点として、状況に合わせた効果的なコミュニケーションを図っていくことが大切です。今回はインシデント・アクシデント報告時、何が起きたのか、事象の把握をするために、関係者からのヒアリングの場面におけるコミュニケーションの在り方について、事例を通しながら検討していきます。
- 事例検討会ファシリテーション技法 : 熊本大学病院 近本亮
日常診療では軽微なインシデントから重大な医療事故までさまざまなイベントが発生します。医療安全管理者はそれらの情報をトリアージし、必要に応じて事例検討会を実施することになります。事例検討会はあくまでもシステムアプローチで進行する必要があり、前向きな議論が求められます。本セッションでは事例検討会を開催するにあたって、医療安全管理者が留意すべき点、検討会の進行上の注意点などについて議論していきます。
- 医療安全と哲学的思考:藤田医科大学病院 医療の質・安全対策部 奥村将年
医療安全という「強い文脈」の山を登り始めた途端、私たちは目の前の足場の悪さに気を取られ、自由な思考は奪われてしまいます。鬱蒼とした木々のせいで、時に思考の視野は狭まり、私たちは攻撃的で批判的な気質へと変化していくかのようです。この悲しい変化から解き放たれるには、医療安全という名の単一の山を高く登り続けるだけでは不十分です。ここでは、哲学というツールをインストールすることによって、医療安全という山にいくつもの補助線を引き、そこに横断的な「弱い文脈」を編み込みます。この複数の視点を持つことで、医療安全というものを、より豊かに解釈できるようになることを目指します。
- 医療安全の法的思考:浜松医科大学 医学部医療法学 大磯義一郎
事故調査報告書の表現が原因となり、紛争が誘発、激化した事例(調査事故)が後を絶ちません。どのような表現が紛争を誘発するか。法的にはどのように解釈されるかを知ることで、調査事故を防ぐ一助となればと考えています。
プログラム要項
講座は現在以下のようなプログラムを予定しています。
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